収益不動産売却時に発生する売却損・売却益の税金

収益不動産売却時に発生する売却損・売却益の税金

不動産投資によって得られる所得は、基本的に不動産所得となります。
しかし、収益不動産を売却することによって発生する
売却損・売却益は、譲渡所得といって不動産所得とは異なります。
したがって税金の扱いも異なるので注意が必要です。

 

不動産所得と譲渡所得

不動産投資における不動産所得とは、
通常、土地や建物などの不動産の貸付けを行うことによって得られる所得をいいます。
この不動産所得には譲渡所得に該当するものを除くことが定められています。
一方、譲渡所得とは、一般的に、
土地、建物などの資産を譲渡することによって得られる所得のことを言います。

所得には所得税が課税されますが、この課税方法には「総合課税」と「分離課税」があります。
不動産所得は、総合課税方式で、譲渡所得は分離課税方式で課税が行われます。

さらに、分離課税は、「申告分離課税」と「源泉分離課税」に分けられ、
土地や建物などの不動産の譲渡による所得は、申告が必要な申告分離課税となります。

不動産所得が赤字となった場合には、給与所得など他の黒字の所得と相殺することができ、
これを損益通算といいます。一方で、分離課税である譲渡所得は赤字となっても、
総合課税のグループである所得とは損益通算は認められていません。このように、
収益不動産の売却時に発生する売却損・売却益に対する税の扱いは不動産所得とは異なるので注意が必要です。

売却損と売却益への税金
売却損、売却益は売却した不動産の簿価と売価の差であり、
購入価格と売価の差とは異なります。簿価は建物などの減価償却が反映された帳簿上の価格のことです。

黒字の譲渡所得には所得税が課税されますが、赤字であれば所得税は課税されません。
したがって不動産投資では収益不動産の売却時の売却損・売却益はとても重要な要素です。

譲渡所得に対する税率は、所有期間によって異なります。
譲渡する年の1月1日時点で所有期間が5年以下であれば約40%、
5年超であれば約20%の税率となります。所有期間によって税金が倍半分となりますので、
売却時期のタイミングには十分注意しましょう。

また、損益通算はできませんが、複数の収益不動産の売却をすることで税金を圧縮することが可能です。
売却損と売却益が出る収益不動産を同じ年に売却することで、売却益から売却損を控除することが出来ます。
これにより譲渡所得が圧縮されますので所得税を軽減することが出来るのです。


売却損・売却益と売却のタイミング
収益不動産の売却による売却損・売却益は、税金に大きく影響します。
特に短期譲渡、長期譲渡では税率に大きな違いがあります。
1年タイミングをずらすことで納める税金が大きく異なるということもあるのです。
したがって、発生する税金による手残りの金額も計算して、
売却のタイミングを検討することが必要です。