賃貸経営とプロパンガススキームの見直し

賃貸経営のプロパンガススキーム

プロパンガス業界では、顧客である賃貸住宅オーナーを取り込むために、給湯器やエアコンなどのな設備をほぼ無料で提供する慣習が存在します。この慣習は「プロパンガススキーム」として知られ、都市ガスの供給エリアでも、設備を貸与してくれるプロパンガス会社に切り替えるオーナーが少なくありません。オーナーにとっては、リフォーム費用を節約したり、安価にバリューアップができるなどのメリットがあります。しかし、この慣習がエスカレートすると、ガス会社の負担が大きくなりすぎ、入居者が支払うガス料金に上乗せされることもあります。これにより、入居者の負担が増えることが問題視されてきました。

 

改正方針

経済産業省は、この問題を解決するために、ガス料金に計上できる費用を法令で定め、その他の設備の費用を含めることを禁止する方針を固めました。この改正は、来春までに関係省令を改正し、周知や準備の期間を経て2027年度の施行が目指されています。

 

改正方針の詳細

経済産業省は、以下の3つの改正方針を示しています。

    1. ガス契約に係る料金は、基本料金、従量料金及び設備料金とし、消費者に対してこれらの料金を請求するときは、算定根拠を通知しなければならない
    2. 設備料金として、配管及びガス器具等ガスを消費する場合に用いられるものの利用に係る料金以外を請求してはならない
    3. 消費者とガスを消費する場合に用いられる器具が設置された建物の所有者とが異なる場合において、消費者にガス料金を請求するときは、配管及びガス器具等ガスを消費する場合に用いられるものの利用に係る料金を請求してはならない

 

三部料金制の考え方

三部料金制とは、基本料金、従量料金の他に、配管・ガス器具等ガスを消費する場合に用いられるものの貸付料金等設備料金を設けた料金体系です。基本料金は、容器・調整器・高圧ホース・メータなどの設備等の費用や設備点検・検針費用など消費量の多少に関係なく生じる固定的な費用です。従量料金は、ガス原料費、配送費など使用量に応じて発生する費用です。設備料金は、個別の契約に基づき、配管・ガス器具等ガスを消費する場合に用いられるものの利用に応じて発生する費用です。

 

プロパンガススキームの規制による影響

プロパンガススキームに依存していた不動産オーナーは、新たな経営戦略を立てる必要があります。これまでガス会社から提供されていた設備を自己負担することになるため、初期投資や運営コストが増加する可能性があります。