税制改正で何が変わる?不動産小口化商品の「節税メリット縮小」をやさしく解説

2025年末に発表された税制改正大綱により、不動産小口化商品の「節税メリット」は今後縮小する方向性が示された。
これまで相続対策として活用されてきた評価方法が見直され、実際の取引価格(時価)に近づける運用へ変更される可能性が高まっている。
この影響を受け、一部の不動産会社では商品の販売を一時的に停止する動きも見られ、不動産投資業界全体に慎重な空気が広がっている。

今後、不動産小口化商品は「節税商品」から「純粋な投資商品」へと位置づけが変わっていくと読み取れる。
以下、その背景と仕組みを順を追って解説する。

■不動産小口化商品とは何か
不動産小口化商品とは、マンションやビルなどの収益不動産を複数の口数に分割し、投資家が少額から参加できるようにした金融商品である。

例えば1億円の不動産を、

・1口100万円
・100口に分割

という形で販売し、複数人が共同で出資する仕組みだ。
これにより、個人では購入が難しい高額不動産にも投資できるようになる。

ここで重要なのは、投資家が直接「不動産」を所有するのではなく、「不動産から生じる収益を受け取る権利」を保有する点である。

代表的な仕組みには、

・不動産特定共同事業
・信託受益権

などがある。

「信託受益権」とは、不動産を信託会社などに預け、その不動産から生じる収益を受け取る権利のことを指す。
簡単に言えば「不動産の利益を受け取れる権利証書」のようなものだ。

■なぜこれまで節税になっていたのか
相続税は、亡くなった方が保有していた財産の「評価額」に基づいて計算される。
この評価額とは、「税務上いくらの価値があるか」という基準価格である。

不動産の場合、評価額は

・路線価
・固定資産税評価額

などを基準に算出され、実際の売却価格より低くなることが一般的だ。

さらに不動産小口化商品では、

・不動産そのものではなく
・「権利」として評価される

という特徴がある。

そのため、

実際に投資した金額 > 相続税評価額

という状態が起こりやすかった。

例えば、

1,000万円で購入した商品が相続時には500万円評価になるといったケースもあり、
これが節税効果として注目されてきた理由である。

■税制改正大綱で何が変わるのか
2025年末に公表された税制改正大綱では、この評価方法に見直しが入る方向性が示された。

最大のポイントは、

「通常の取引価格(時価)を基準に評価する」

という考え方である。

「時価」とは、市場で実際に売買された場合の価格を指す。

今後は、

・事業者が提示する買取価格
・実際の売買事例
・定期報告書に記載された不動産価格

などを参考にしながら、評価額を算定する枠組みが検討されている。

この方針が制度として確定した場合、

1,000万円で購入した商品は
相続時にもほぼ1,000万円評価

となる可能性が高い。

これにより、従来のような「評価額の大幅圧縮」は原則として期待できなくなると読み取れる。

■販売停止が起きている理由
報道では、一部の不動産会社が小口化商品の販売を一時停止していると伝えられている。
その背景としては、複数の要因が考えられる。

例えば、節税メリットを前提とした説明がしづらくなったことや、制度の詳細がまだ確定していないことへの慎重姿勢がある可能性がある。
また、評価方法が変わる場合、どの資料を根拠に価格を説明するのかといった開示体制の再構築が必要になることも、
販売を一時的に見合わせる理由の一つと読み取れる。

制度が確定しない段階で販売を続けた場合、

「聞いていた話と違う」
「節税できると言われた」

といったトラブルに発展する可能性も否定できない。そのため、リスク管理の観点から販売を見合わせる事業者が出てきていると読み取れる。

■国が改正に踏み切った背景
今回の税制改正の背景には、相続直前に不動産を購入して評価額を圧縮する節税スキームが広がっていたことがあると読み取れる。
また、特定の層だけが大きな節税効果を享受できる状況に対し、税負担の公平性を確保したいという意図もある可能性がある。
そのため、実際の取引価格(時価)に近い評価へ見直す方向性が示されたのではないかと考えられる。

■今後、不動産小口化商品はどうなるのか
今回の改正により、

「節税目的」で購入する使い方は成立しにくくなる可能性が高い。

しかし、

「商品として価値がなくなる」
というわけではない。

今後は、

・利回り
・物件の立地
・管理体制
・売却のしやすさ(出口戦略)
・コスト構造

といった「投資としての本質」がより重視される流れになると考えられる。
これは、市場としては健全な方向性とも言える。

■まとめ
・税制改正により評価方法が見直される方向性
・節税メリットは縮小する可能性が高い
・販売を止める事業者も出てきている
・今後は投資価値で判断する時代へ

不動産小口化商品は、

「節税商品」から
「純粋な投資商品」へ

転換期を迎えている。

今後は制度の正式決定内容を注視しつつ、税効果だけに頼らない冷静な投資判断が求められる局面に入ったと言えるだろう。