初めての投資用不動産購入|よくある疑問に答えます

「不動産投資を始めたいけれど、何から手をつけていいか分からない」「リスクが多そうで不安」——こうした声を、現場で数多く耳にします。実際、投資用不動産の購入には独特の知識が必要です。しかし、正確な情報と冷静な判断を持って臨めば、資産形成や老後の備えとして十分に機能する投資手段です。本コラムでは、購入希望者が感じやすい疑問や不安に対し、事実と実務に基づいて一つずつ解説していきます。


■ 1. 「どんな物件を買えばいいか分からない」

不動産投資の目的により選ぶべき物件は異なります。
大きくは次の2パターンです。

投資目的 向いている物件 特徴
インカムゲイン(家賃収入) 区分マンション・一棟アパート 安定収益を狙う
キャピタルゲイン(値上がり益) 再開発エリアの土地・築古再生 売却益を狙う

初心者には「安定したインカムゲイン」を見込める、築浅または管理状況の良い区分マンションや、エリアに合った一棟アパートがおすすめです。


■ 2. 「失敗するリスクはないの?」

リスクは存在しますが、把握しておくことで最小限に抑えることができます。代表的なリスクと対応策は以下の通りです。

リスク 内容 対応策
空室 入居者がつかず収入ゼロ 賃貸需要の高いエリアを選定
滞納 家賃が支払われない 滞納保証付き管理会社の選定
修繕 計画外の修繕費 事前のインスペクション
地価下落 資産価値が下がる 再開発・人口動向のリサーチ

最も大切なのは「数字ではなく実需に着目すること」です。人口増加地域、大学や大病院、駅近などは強い需要があります。


■ 3. 「自己資金はいくら必要?」

金融機関の融資を活用すれば、自己資金は物件価格の10〜30%で済む場合が多いです。

【例】3000万円の区分マンションを購入する場合
・自己資金:300〜900万円
・ローン:2100〜2700万円

また、融資の審査においては「年収」「勤続年数」「他の借入状況」などが重視されます。近年では、会社員の方でも不動産投資ローンを利用する方が増えています。特に信金や一部地銀、ノンバンクなどは年収600万円以上の会社員に対して積極的に融資を行っています。


■ 4. 「どのエリアを選べばいいの?」

エリア選びは投資の成否を大きく左右します。以下のような視点で選びましょう。

<注目エリアの選び方>

  • 人口が増加している自治体(総務省統計・自治体HPで確認可能)

  • 鉄道アクセスの良さ(都心直結、複数路線利用)

  • 大学・工業団地・大型病院・行政施設の有無

  • 再開発・都市計画事業が進行している地域

たとえば、東京では「品川・北千住・押上」など、地方では「福岡市・名古屋市・宇都宮市・高崎市」なども安定した賃貸需要が見込まれています。


■ 5. 「本当に入居者がつくの?」

不動産投資では「物件の良し悪しより、エリアの需要」が重要です。

【需要を見極めるポイント】

  • SUUMOやホームズで「同じ間取り・築年数」の募集物件数をチェック

  • 現地の不動産会社に「何日で決まるか?」をヒアリング

  • 周辺の大学・企業・病院などの「従業員数・通学者数」を確認

  • ワンルーム規制など、自治体の供給制限状況も参考に


■ 6. 「管理や家賃回収が大変そう」

現在は「サブリース(家賃保証)」や「賃貸管理委託」により、オーナーが日常的に対応する必要はありません。

<管理会社に任せられる業務>

  • 入居者募集、審査

  • 賃貸契約の締結

  • 家賃回収・滞納対応

  • クレーム処理・修繕対応

  • 退去立会・敷金精算

信頼できる管理会社を選ぶことで、不動産投資は“手間の少ない投資商品”になります。


■ 7. 「税金はどうなる?」

所有中にかかる主な税金は以下の3つです。

税金名 内容
固定資産税・都市計画税 毎年1月1日時点の所有者に課税
所得税 家賃収入から必要経費を差し引いた所得に対して課税
住民税 所得に応じて地方自治体に課税

赤字の場合は給与所得と損益通算が可能で、税金が軽減されるケースもあります。将来売却する場合は「譲渡所得税」がかかるため、購入から5年を超えて保有することで税率が軽減されます。


■ 8. 「いざとなったら売却できるの?」

「出口戦略(売却のしやすさ)」も、購入時点で見ておくべき重要な要素です。

<流動性の高い物件の特徴>

  • エリアに賃貸需要がある

  • 利回りが相場と比較して適正

  • 修繕履歴・管理体制が良好

  • ファミリー層や単身層など、ターゲットが明確

近年は、個人投資家だけでなく法人や海外投資家も増えており、需要の裾野は広がっています。物件情報の公開サイト(例:楽待・健美家・アットホーム)などをチェックすることで、相場や売却難易度を事前に把握できます。


【まとめ】

投資用不動産の購入には、「情報収集」「エリア選定」「リスク管理」「収支計算」などの要素が必要不可欠です。しかし、過度に不安になる必要はありません。重要なのは「誰に相談するか」と「事実に基づいた判断をすること」です。

信頼できる仲介会社や管理会社とパートナーを組み、堅実な第一歩を踏み出しましょう。
不動産投資は、決して「富裕層だけのもの」ではありません。正しい知識があれば、誰でも資産を積み上げていくことが可能です。