固定資産税評価額とは、市町村などの地方自治体が
土地や建物などの固定資産を所有している人に対して、
その所有している固定資産に応じた税金(固定資産税)を課税しているのですが、
この固定資産税を算出するための前提となる評価額のことをいいます。
この固定資産税評価額は、土地については概ね市場価格の7割程度の目安とされ、
建物については市場価格の概ね5~6割の目安と言われています。
また、建物は時の経過とともに価値が減耗していくため
固定資産税評価額も経年によって減価します。
このため固定資産税評価額を使って按分すると
土地に対して建物の価値が小さくなるケースが多くなるのです。
収益不動産の売却時に買主側から
上物(建物)の価値を大きくして契約書に記載して欲しいという要望を受けることがあるかもしれません。
収益不動産の購入の際に経験されたかもしれませんが、
上物(建物)の価値を大きくすることによって、
減価償却を大きくすることができ、減価償却期間中の所得税が軽減されるためです。
しかし、あまりにも実態と乖離した上物(建物)の価値を付けてしまうと、
あとあと税務調査などで問題になることもあるので注意しましょう。
売主にとっての上物(建物)の価値
一方、売主にとって上物(建物)の価値は、
売却する収益不動産の取得時の上物(建物)価格と深く関係します。
売主は、収益不動産を売却したら、譲渡所得について
申告し必要があれば所得税を納める必要があります。
この譲渡所得による所得税は、売却益に課税が行われますので
売却損であれば税金を納める必要はありません。
譲渡所得は、「売却金額-(土地簿価+建物簿価+譲渡費用)」によって求められます。
売却金額から控除できる土地簿価及び建物簿価は売却した
収益不動産を取得した時の価格が基となります。
土地は償却資産ではないので、取得時の価格が簿価となります。
しかし、建物簿価は、取得時の上物(建物)の価値に基づく取得価格から
減価償却費相当額を差し引いた金額となります。
このため取得時に上物(建物)の価値を大きくすることで
建物簿価を上げてしまうと減価償却費が高額となり、
結果として売却時の簿価は下がり、譲渡所得が大きくなって、
所得税が高くなる可能性があります。
売却のことも考慮した不動産投資
収益不動産の取得時に上物(建物)の価値を大きくすると、
資産運用中のキャッシュフローは良くなります。
一方で、売却時には譲渡所得が高くなり所得税も高くなる可能性があります。
取得時に上物(建物)の価値を大きくするほうが、
得かどうかは売却時の市場動向や投資スタイルにも依るので一概には言えませんが、
収益売却時の取得時の上物(建物)の価値が所得税に影響を与えるということは
不動産投資において知っておいたほうが良いことであるのに間違いはありません。