不動産投資家向け解説
令和8年税制改正概要から読み取れる「1棟アパート・マンション投資」への影響
令和8年度税制改正概要は、主に住宅取得者向けの施策が多く見受けられます。
しかし、不動産投資、とくに1棟アパート・1棟マンション投資の観点から見ても、
いくつか注目すべき制度変更が含まれていると読み取れます。
本コラムでは、国土交通省が公表した「令和8年度税制改正概要」に記載されている内容をもとに、
事実関係を整理しながら、投資判断に影響し得るポイントを慎重に整理します。
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1.アパートローンに間接的に関係し得るポイント
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不動産投資家が利用するのは住宅ローンではなく、アパートローンや事業用ローンであることが一般的です。
そのため、ローン控除制度そのものよりも、「金融機関が物件をどのように評価するか」が
間接的に影響を受ける可能性があります。
今回の税制改正概要では、
・既存住宅の活用
・リフォーム、性能向上
・建替え、再生
・老朽化マンションの再生
といった分野に関する税制措置の延長や拡充が示されています。
これらの内容からは、
「新築かどうか」だけでなく「既存物件をどのように維持・再生し、 将来の活用や売却を想定できるか」
といった点が、今後より重視される方向性がうかがえます。
築年数のみを基準に評価するのではなく、修繕計画や管理状況などを含めた
総合的な判断が行われる可能性があると考えられます。
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2.新築アパート投資に関して読み取れる点
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税制改正概要では、
災害リスクの高いエリアにおける新築住宅について、
一部の税制優遇措置の対象外とする内容が記載されています。
一方で、
・既存住宅の建替え
・リフォーム
・再生
については、引き続き対象とされている制度も見受けられます。
この点からは、「新築前提の土地活用」よりも「既存ストックの活用」を重視する方向性がうかがえる内容となっています。
新築アパート投資は、土地と建物をセットで成立させる投資であるため、
・土地のハザード条件
・新築以外の活用余地
・将来の売却方法
といった点をより慎重に検討する必要性が高まる可能性があります。
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3.1棟マンション投資と再生制度
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今回の改正概要では、老朽化マンションの再生を促進するための税制措置として、
・譲渡所得1,500万円特別控除
・登録免許税、不動産取得税の軽減
・新たな再生スキームへの対応
などが示されています。
これらの制度からは、築年数が経過したマンションについても、
再生や建替えを前提とした活用を促す意図が読み取れる内容となっています。
そのため、
築40年以上の1棟マンションについても、管理状況や敷地条件次第では、
将来的な再生を視野に入れた投資対象として検討される可能性があると考えられます。
従来よりも、「出口戦略」の選択肢が広がる可能性がある点は、
投資判断において参考になる要素といえるでしょう。
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4.既存アパート投資とリフォーム施策
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既存住宅のリフォームや性能向上に関する特例措置も、引き続き延長される内容が記載されています。
対象となる工事には、
・耐震
・省エネ
・バリアフリー
・長期優良住宅化
などが含まれています。
これらの制度からは、既存物件について、単なる修繕ではなく、性能向上を伴う改修を行うことで、
将来的な評価維持や売却時の選択肢拡大につながる可能性がうかがえます。
そのため、1棟アパート投資においても、「現在の利回り」だけでなく、「中長期的な物件評価」を意識した
保有戦略が重要になる可能性があります。
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5.事業用資産の買換え特例から読み取れる点
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長期保有した土地や建物を売却し、事業用資産を買換えた場合の課税繰延特例も延長されています。
とくに、
・都市部から地方への移転
・老朽資産から新たな投資への転換
を後押しする制度設計となっています。
この点からは、
売却時点で課税するよりも、再投資を促進する方向性が示されていると読み取れます。
長期保有型の不動産投資では、売却後の資金の使い道も含めて検討することが重要になる可能性があります。
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6.投資判断において参考となる視点
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今回の税制改正概要を踏まえると、1棟アパート・マンション投資において、
以下のような視点が今後より重要になる可能性があります。
・出口が複数想定できるか
・再生、修繕、用途転換の余地があるか
・金融機関が評価しやすい構造か
・新築前提のみの投資になっていないか
反対に、
・新築ありきの更地仕入れ
・再生が困難な築古物件
については、より慎重な検討が求められる可能性があります。
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まとめ
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令和8年税制改正概要からは、
・既存住宅の活用
・再生、性能向上
・長期的な資産活用
といった方向性が読み取れる内容となっています。
これらを踏まえると、今後の1棟アパート・マンション投資では、
「購入時の利回り」だけでなく、「中長期的な活用・売却の選択肢」
も含めた検討がより重要になる可能性があると考えられます。
制度内容を正しく理解したうえで、慎重に投資判断を行うことが、
今後ますます求められるでしょう。